なぜ負の遺産と呼ばれる?増え続ける空き家問題について

空き家問題が続いていますね。なぜ日本では空き家が増えているのか、疑問に感じる方もおられるでしょう。
私たちがよく耳にするのは「もともと両親が住んでいた実家」や「親族が住んでいた自宅」を相続したケースです。
相続したご自宅に既にお住まいの方は良いのですが、新居をお持ちの方、別の地での住まいがある為ご両親やご親族の方々とは別々の暮らしをしている、といった場合には、家を相続しても誰も住む人がいないため、必然的に空き家となってしまいます。

弊社でもそういった空き家の管理に悩まれる方、いざ売却を検討してはみたものの、肝心の売り手が見つからないとのことで相談にご来店される方々が多くいらっしゃります。

なぜ売れない?

空き家が売れない理由は大きく分けて2つ考えられています。

1つめは「地方や田舎のため、買い手が見つからない」問題です
不動産の購入をする人々の年齢層は主に30代から40代の方々です。
ただ、こういった若い年齢層の方々は都内に移り住むことも多く、高齢化の進んだ地域での土地や建物はなかなか買い手がつかなくなっています。
元々若い人が少ない地域では都市部と比較すると不動産取引が少なくなり、買い手を見つけることが困難です。


2つめは「物件自体に問題があって売却が困難である」ということです。
物件の問題というと、建物の欠損等を想像してしまう方も多いかもしれませんが、土地自体が問題となるケースもあります。
例えば、土地に問題がある場合のケースの1つとして、「再建築不可物件」があげられます。
再建築不可の物件とは、建物を建て替えることが出来ない土地をさします。
再建築不可の土地を積極的に買おうと考える方はなかなかいないのが現状です。
その為、こういった物件には土地の価格がつかなくなっています。

また、再建築不可以外にも市街化調整区域に指定されていたり、近隣と境界トラブルになっていたりと、様々な問題により売却が困難になると考えられます。

不要になった空き家は国に引き取ってもらえないの?

「売りたくても売れない」「持っているだけで毎年の固定資産税が発生する」「建物を取り壊すだけでお金がかかってしまい結果的に赤字になってしまう」
こういった理由で空き家を所得したくないと考える方々もおられます。

仮に誰も相続しない場合、国に引き取ってもらう、相続放棄をするといったことは可能なのでしょうか?

要件が厳しい


実は、ある要件を満たせば国に引き取ってもらうことは「可能」です。
令和3年4月21日に、参院本会議で「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(相続土地国庫帰属法)【2】」が可決成立しました。

これは、国が相続した土地を引き取ってくれる法律です。
では「困った空き家は全て国に引き取ってもらえばいいじゃないか!」
そう考える方もおられると思います。
ただここで1つ残念なお知らせが。この法律の要件がとにかく厳しいんです…。

引き取って貰うための要件

こちらの要件、「人」の要件と「土地」の要件があります。

【人の要件】

基本相続又は遺贈により土地所有権の全部・一部を取得した方
例外共有不動産の場合には、全員揃ったときのみ承認申請できます。
共有者中の一人に相続が発生すればよく、他の方は相続等により取得したことは要件でなくなる。
  1. 第三者から購入した土地を引き取って貰えるわけではありません。
    相続・遺贈を契機に取得した土地のみが対象です。
  2. 遺贈は、相続人に対する遺贈に限られます。

【土地の要件】

建物は対象になりません。
また、次のような土地は、通常の管理や処分をするに当たり多くの費用や労力が必要になるので引き取りの対象外です。


(1)申請の段階で却下となる土地

  1. 建物がある土地
  2. 担保権(抵当権など)や使用収益権(地上権・永小作権など)が設定されている土地
  3. 通路や他人の利用が予定されている土地
  4. 特定の有害物質によって土壌汚染されている土地
  5. 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地

(2)該当すると判断された場合に不承認となる土地

  1. 一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
  2. 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
  3. 土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
  4. 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
  5. その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地

費用もかかる

申請する際には、1筆(※1)の土地当たり1万4000円の審査手数料を納付する必要があります。さらに、法務局による審査を経て承認されると、土地の性質に応じた標準的な管理費用を考慮して算出した10年分の土地管理費相当額の負担金を納付します。

国有地の標準的な10年分の管理費用は下記の通りです。

  • 市街地200㎡の宅地:約80万円
  • 粗放的な管理で足りる原野:約20万円

まとめ

長く書きましたが、今のところ想定できる用途は次のような場合に限られると思います。

  • 第三者に売却できない
  • 第三者にあげたくても引き取って貰えない
  • 第三者にお金を渡しても引き取って貰えない
  • 地方行政(県や市区町村)も引き取ってくれない
  • さらには10年分の管理費を国に支払ってでも、「使わない・売れない」負の不動産を子孫に残したくない資産家の方(相続税節税対策)

…あまり現実的ではありませんね。

一緒に問題を解決していきませんか?

今の世代で解決されなかった空き家の問題は、次の世代へと引き継がれていきます。
問題を先送りすればするほど空き家の価値は下がり、売却はおろか、いずれは処分すらも困難になっていきます。
イエステーション館林店ではこういった空き家問題の解決に取り組んでおります。
気になった方はいつでもご連絡ください。お待ちしております。

↓空き家管理についての記事はこちら

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