不動産の購入時にかかる税金の種類と軽減措置の適用条件
2023年2月2日住宅ローンとは?仕組みや種類・返済方法など基礎知識を解説
2023年2月2日一生モノのお買い物である、マイホーム購入。
理想とする暮らしを実現できることへの期待や楽しみもある一方で、高額な家の購入費用を住宅ローンで借り入れすることに不安やプレッシャーをお持ちの方も少なくありません。
そんな住宅ローンの負担を軽くするために設けられた制度が「住宅ローン減税」です。
住宅ローン減税とは、住宅ローンを借りて家の購入や増改築などをおこなった場合に、年末のローン残高に応じて、支払った税金がかえってくる制度のこと。
住宅ローンの利用を考えている方であればぜひ利用したいと思う制度ですが、その仕組みは少し複雑で、わかりにくい部分もあります。
そこでこの記事では、住宅ローン減税について詳しく解説していきます。
住宅ローンの利用をお考えの方や、住宅ローン減税について詳しく知りたいという方はぜひ記事を参考にしてみてください。
住宅ローン減税とは?
住宅ローン減税とは、マイホームを購入した時に税金がかえってくる制度のことです。
一定条件の住宅ローンを組んでマイホームの新築・購入をしたり、バリアフリーや省エネなど特定の増改築をおこなったりした場合に利用でき、「年末(12月31日)時点の住宅ローン残高の0.7%が、最長で13年間、所得税から還付となります。
もしも所得税だけで控除しきれない場合は住民税からも控除を受けることが可能です。
なお、住宅ローン減税の制度を受けるためにはさまざまな要件があり、要件を満たした人は年末調整もしくは確定申告をおこなうことで還付となります。
ざっくり言うと、要件を満たせばローン残高の0.7%分の税金が10年間かえってくるという内容です。
たとえば、住宅ローンの年末の残高が3,500万円だったとしたら、この内の0.7%である24.5万円が戻ってきます。一般の新築住宅の場合で21万円までという上限(認定住宅の場合は35万円)はあるものの、家計の負担を軽減する効果の大きい制度ですのでぜひフル活用しましょう。
【還付と控除の違い】
- 還付…給与所得者(会社員など)は毎月の給与から源泉徴収されているため、原則として確定申告は不要。所得税の払い過ぎとなった場合は年末調整によって税金が還付される
- 控除…個人事業主などは確定申告によって税金が減額されるが、これを控除という
住宅ローン減税・住宅ローン控除・住宅借入金等特別控除の違いって?
「住宅ローン減税」のほかにも「住宅ローン控除」「住宅借入金等特別控除」という言葉がありますが、これらに違いはなく、呼び方が違うだけで同じ制度のことです。
なお、正式な名称は「住宅借入金等特別控除」となっています。
改正で期間延長&要件が緩和
住宅ローン減税の制度は、令和3年度(2021年度)に税制改正が施行されたことによって、より充実した内容となりました。
控除適用期間が13年に
住宅ローン減税制度は元々、控除を受けられる期間は「10年間」となっていました。
しかし、2019年10月に消費税が8%から10%に増税となったことをきっかけに13年間に延長。現在でも、条件を満たせば引き続き13年間控除を受けられるようになっています。
また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によって、控除期間の延長とともに、契約期限も延長となりました。
床面積条件が40㎡に
住宅ローン減税の制度を利用するためには要件を満たす必要があり、この中に「住宅の床面積の広さ」があります。
令和2年度(2020年度)までは「50㎡以上」となっていましたが、所得が1000万円以下の場合は「40㎡以上」も対象に。
なお、このほかにも条件がありますので、事前に詳細を調べておきましょう。
すまい給付金との併用も可能
住宅ローン減税のほかに、「すまい給付金」もマイホーム購入には欠かせない、負担軽減のための手段です。
すまい給付金とは、消費税10%での住宅購入の場合に10~50万円の現金が支給される制度のこと。マイホームを購入する人の収入状況によって給付基礎額が決まります。
すまい給付金はそもそも、住宅ローン減税の制度を利用してもなお、大きな負担を抱えるマイホーム購入者のために作られた制度であるため、基本的に併用が可能です。
ただし、2つの制度はそれぞれ「申請条件」「申請方法」「申請の必要書類」が異なるため、あらかじめチェックしておきましょう。
種類別の住宅ローン減税適用条件
住宅ローン減税は、新築物件の購入だけではなく中古物件、リフォーム・増築でも条件を満たせば利用することが可能です。
ここからは、種類別の住宅ローン減税の適用条件をご紹介します。
新築物件購入の場合の適用条件
新築物件購入の場合の住宅ローン減税適用条件は、以下のようになっています。
- 住宅ローン減税の制度を利用する本人が、住宅の新築または取得日から6ヶ月以内に入居し、制度を利用する各年の12月31日まで住んでいること
- 特別控除を受ける年の所得金額が合計2,000万円以下であること
- 新築または取得した住宅の床面積が50㎡以上(所得が1000万円以下の場合は40㎡以上)で、さらに床面積の2分の1以上が本人の居住用であること
- 新築または取得した住宅の購入のための住宅ローンが10年以上であること
- 一定期間内に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと
なお、要件の詳細は国税庁の「No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」から確認可能ですので申請前には必ずチェックしておきましょう。
中古物件購入の場合の適用条件
中古物件の場合、建築された年によっては現在の耐震基準を満たしていないケースもあります。
中古物件の購入で住宅ローン減税を利用する際は、新築住宅の適用条件に加えて一定の耐震基準を満たさなければなりません。
具体的には、以下の基準のいずれかを満たす必要があります。
- 登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降の家屋であること
- 調査をおこない耐震基準適合証明書を取得していること
- 住宅取得日の前2年以内に建設住宅性能評価書(耐震等級1以上)を取得していること
- 既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入していること
中古物件購入の場合の住宅ローン減税の詳しい要件については、国税庁「No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」からチェックできます。
リフォームなどの場合の適用条件
リフォームなどの場合は、新築住宅の適用条件に加えて、以下のいずれかに該当していれば制度を利用できます。
- 一定のバリアフリー改修工事
- 一定の省エネ改修工事
- 現行の耐震基準への適合のための耐震改修工事
- 増改築、建築基準法に規定する大規模な修繕や大規模な模様替えの工事(壁や床、柱、はり、屋根または階段のいずれか1つ以上)
- マンションなどの専有部分の床や、階段もしくは壁の半分以上についての一定の修繕・模様替えの工事
- 家屋(マンションは専有部分のみ)のリビング、台所、浴室、納戸、トイレ、洗面所、玄関または廊下の一室の床、または壁の全部についておこなう修繕・模様替えの工事
なお、リフォームなどで住宅ローン減税を利用する場合は、上記の工事費が100万円を超えることも条件です。
適用となる工事で必要な設備機器の購入費用や設置費用も含めることができますが、どこからどこまでが住宅ローン減税の対象となるかはあらかじめしっかりチェックしておくようにしましょう。
詳しい条件は国税庁の「No.1216 増改築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」から確認可能です。
住宅ローン減税でいくら戻ってくる?計算方法
住宅ローン減税の適用条件をクリアすれば制度を利用できますが、気になるのが「いくら戻ってくるの?」という点。
ここからは、下記の条件で実際に住宅ローン減税の控除額を計算してみましょう。
【住宅ローン減税・控除額の計算条件】
- 年末のローン残高…3,000万円
- 所得税…10万円
- 住民税…10万円
年末のローン残高は3,000万円なので、住宅ローン控除額はそのうち0.7%の21万円となります。(3,500万円×0.7%=21万円)
所得税の額は10万円で住宅ローン控除額の21万円より少ないため、この場合では所得税は全額還付に。
また、控除しきれなかった11万円分については、住民税から控除可能です。
住民税の控除額は「所得税の課税総所得金額(全ての所得)等の額の7%」または「9万7500円」のうち低いほうと決められており、今回のケースでは9万7500円が適用され、住民税10万円のうち9万7500円が還付となります。
以上を合計すると、所得税分10万円と住民税分9万7500円あわせて、19万7500円が住宅ローン減税によって還付となりました。
なお、1万2500円分の控除が残っていますが、これは来年への持ち越しやほかの税に適用することはできません。
住宅ローン減税(控除)の注意点
給与所得者が初めて住宅ローン減税の制度を利用する際には、確定申告をおこなわなければなりません(2年目以降は勤めている勤務先の年末調整によって控除を受けられます)。
確定申告には申請期限があり、申請には多くの書類が必要になるため、余裕を持って準備をしておくようにしましょう。
なお、確定申告のやり方について心配がある場合には税務署で相談することが可能です。
まとめ
マイホーム購入における住宅ローンの負担を軽減する「住宅ローン減税」制度。対象となるかどうかはローン等の条件のほか、契約締結日・居住開始日等で決まるため事前に詳しい条件をしっかりとチェックしておきましょう。
なお、住宅ローン減税は原則として、すまい給付金とも併用することができます。
ぜひこれらの制度を活用して、マイホーム購入の負担を少しでも軽減してみてください。
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