前回と前々回のコラムでは、不動産一括査定の注意点や利用の流れについてお話しました。
その中で、
売却を任せる業者を選ぶ際に高額な査定をつけた業者を安易に選んで良いのか?
→高額査定の根拠をしっかりと確認しておくべき。
と解説しました。
しかし根拠と言っても、口の上手い営業であれば適当な理由でも「それっぽく」話すことができてしまうかもしれません。
今回は、お客様が他の業者から言われたという高値の根拠について「それ理由になってないよ、、」というものをいくつかご紹介します。
また、後半では「実際のところ、高値で売ることはできるのか?」についても解説していきます。
目次
何でも良いわけではない!「高値の根拠」NG集
×「ウチは片手仲介歓迎でやっているので、お客様がつきやすいです!」
論外なのですが、これ意外と言われるらしいです。
なぜ論外かと言うと、コンプライアンスを遵守する業者であれば、みんな片手仲介歓迎でやってるんですよね。
専任媒介契約で売主様の許可無く片手仲介を断ったら、いわゆる「囲い込み」をしているということになり、レインズの規定違反および媒介契約違反となります。
所定の日数(専任媒介契約であれば1週間)が経過しているのにレインズに登録すらしていない場合は、宅建業法違反です。
最低限のルール、コンプライアンスを守っているというアピールでしかないので(これも大切なことではありますが)、「お客様がつきやすい」ことの理由にはなりません。
これを理由に挙げるということは、他にアピールできる強みが無いのかな、と思ってしまいますね。
他の会社・他の物件も当然そんなことは前提で価格を設定しているので、他と比べて高値で売れる理由には全くなってないですね。
×「現在同マンションの物件が〇万円で売り出されています」
「売り出されている価格=売れる価格」ではありません。
売り出し値は最終的に売れる価格より少し高めに設定されている事がほとんどです。
実際に成約した価格ではなく現在の売り出し値の一覧を見せてきて「他が3000万円で売り出しているので、本物件の査定額は3000万円です」と言ってきたら、不動産の価格というものをよく分かっていない営業かもしれません。
「これは売り出す時の価格のお勧めですか?それとも最終的に売れる価格が3000万円という意味ですか?」と確認してみましょう。
×「ウチは購入の顧客も多いので高く売れます」
お客様が多いのは良いことですが、現在抱えている顧客というのは、今までに売られていた物件では購入を決めなかったということになります(投資用物件であればまた違ってくると思いますが)。
そんなお客様がなぜ自分の物件を高く買ってくれるのか、確認してみましょう。
そもそも、今は一般向けの「SUUMO」「at home」や業者向けの「レインズ」等で、売り出された物件は日本中に公開されている(どこの業者でも購入希望のお客様に紹介できる)状態になります。
ネット掲載を怠ったり、情報を隠してしまうような業者に媒介を任せてしまわない限り、家を探しているお客様に情報は届くはず。
相場より高く売れる理由として「ウチは顧客が多い」は筋が通らないです。
▲「ウチのお客様で条件ピッタリの方がいます」
これで本当に高値出しした査定額で契約をまとめてくれるなら素晴らしいことです。そのお客様からの購入申込書をもらってこれるのであればそのまま任せてしまいましょう!
もらってこれないのであれば、購入する可能性があるお客様の事を誇張して言っているだけ、もしくは初めからそんなお客様はいない(嘘)ということになりますね。
▲「ウチはマンション(戸建て)の売却が得意なので高く売れます」
査定サイトの誘導広告でもよく出てくるフレーズですが、得意ってなんなんでしょうね。「不動産会社にも得意不得意があるので価格に差が出ます!」って得意げに語られている動画広告とかもよくありますが、得意だとどうして高く売れるのか全く説明がありません。見てて恥ずかしくなってきます。
「賃貸専門だから、売買は(案件が長引かないように)相場より安くでないと受けられない」というのならまだわかります。
売買仲介を専門にしている会社で、「マンションなら相場より高く売る自信がありますが、戸建てだと相場より安い価格でしか売れる自信がありません。」なんて会社、見たことがありません。逆もしかり。仲介ではなく買取再販業者ならそういうこともあるかもしれませんが。
「マンション売買の実績が豊富」なのでマンションが得意と言っているのであれば、価格に対しての根拠というよりは「安心してスムーズに売却手続きを進められる」というアピールになりますね(それも大事なことではあります)。
「同マンションの取引経験がある」ということであれば、直近でいつ契約をしたのか確認してみましょう。
直近の取引から期間が空いていなければ、相場をつかむのにとても有力な情報です。
広さや間取、階層等の条件が同じくらいであれば、同じくらいの価格で売れる可能性が高いです。
この場合、査定額の信ぴょう性は高くなりますが、販売実績を元に出した査定額は相場にかなり近いはずですので、一括査定で「最高値」、他の業者よりも高値の査定になっていることは考えにくいです。
じゃあ高く売るにはどうしたら良いの?

広告の宣伝内容に乗せられないように
そもそもの話ですが、一括査定の広告でよくある「一括査定サイトを利用したら500万円も高く売れました!」みたいな宣伝文句って、「何と比べて」高く売れたのかはっきりしてないんですよね。
「適当な不動産会社に査定してもらったら相場より500万円安い金額を提示されたけど、信用できなくて一括査定を利用してみたらその会社より500万円高く(相場の金額で)売れました!」もしくは「相場よりも500万円高く査定してくれました(売れたとは言ってない)!」ということであれば分かります。
「一括査定を利用したら相場より500万円高く売れました!」ではありません。
広告では、上記の赤文字部分を伏せて、あたかも「相場より何百万円も高く売れた」かのように見せてくるものが多いのでたちが悪いです。
相場とは「需要と供給がマッチする金額(買い手の買いたい金額と売り手の売りたい金額がマッチする金額)」なので、任せる不動産会社によってそんなに大きく変動するものではないです。
不動産一括査定で出てくる査定額は、「今売りに出せばいくらで売れそう」という予想額でしかないので、各社の査定額の差は市場相場を正しく見極めているかどうかの違いなのです。
高く売る為に大事なこと
高く売るコツは結局の所、
売り出し時に相場より安く設定しないこと、相場より高くしすぎないこと。
これが一番大事です。
相場が3000万円の物件なのであれば、値下げの交渉が入ることを見越して3100万円~3200万円くらいで売りに出せば、3ヶ月~6ヶ月くらいで3000万円以上で売れる可能性は高まります。
これを3500万円で売り出してしまうと、購入客からは見向きもされずに時間だけが経過して売れ残る可能性が高いです。
媒介契約を結ぶ不動産会社を選ぶ時には、各社の査定額の根拠を必ず確認して、現在の正しい相場が分かるように説明してくれる会社を選びましょう。
結局、相場より高く売ることはできないの?

ここまで、相場より高く売るのは難しいという話をしてきましたが、高く売れる可能性が全く無いわけではありません。ただし、かなり限られた条件下でタイミングや運も絡んできますので、狙っていくことはあまりお勧めできません。
どんな時に相場より高く売れる?
限られた条件下とは
不動産の最終的な価格は需要と供給がマッチした価格、つまり「購入客が買いたいと思える金額」と「売主が売っても良いと思える金額」が一致した時の価格になります。
ということは、多くの人が「3000万円なら買いたい、3500万円では買えない」と思う物件だったとしても、たった1人「3500万円でも買いたい」という人が現れれば、相場の3000万円よりも高く売ることができるのです。
ただ、気に入ったら金額は気にせず買ってしまう石油王のような人の目に留まればまだしも、通常は近隣で似たような物件と比較されて高ければ売れません。
それなら、比較されるような物件が無ければ良い?
そうです。似たような物件が無いオンリーワンの物件であれば、それが買主の理想にぴったりだった場合、なおかつ値下がりするのを待っていられない(もう購入したいタイミングだった)場合は、相場より高くても購入して貰える可能性が出てきます。
オンリーワンで高く売れる例
オンリーワンと言うとハードルが高そうですが、「駅からの距離や近隣の商業施設等の立地条件、築年数、子どもの学区まで考えると、理想的なのはこのマンション!」というお客様って結構いたりします。
同じマンションでしばらくどの部屋も売りに出されていなかった場合、そのマンションが売りに出るのを今か今かと待っている方がいるかもしれません。
「あのマンションが理想だったけどなかなか売りに出てこないし、子どもが進学するまでには引っ越したいから他の物件で妥協するか・・・」と思っていた矢先に理想のマンションが売り出されたら、少し高くても買いたくなってしまいますよね。
このような感じで、場合によっては相場よりも高く売れることもありますが、それを狙っていくのはあまり現実的ではありません。
現実的な「相場より高く売る方法」
相場3000万円の物件を3500万円で売るという程のインパクトはありませんが、物件の見た目、第一印象を良くすることで多少は高値で売れやすくなります。
ご自身でできる範囲であれば、
・内見時や写真撮影時にはできるだけ部屋を片付けておき、綺麗に見せる
・購入検討のお客様が内見に来た際に対面した場合は、にこやかに出迎える
等でも印象は変わります。
既に住んでいなくて空室状態で売りに出すのであれば、家具等を飾り付けて居住イメージをしやすくする「ホームステージング」もよく取り上げられる手法です。
ホームステージング協会がデータをまとめている「ホームステージング白書」によると、ホームステージングした物件はしていない物件と比べ、平均して0.5%程高く売れているそうです。
たった0.5%か、、と思うかもしれませんが、3,000万円の物件で15万円となると、バカにできない金額になってきます。
イエステーション金町店では、専任媒介契約を結んで頂いたお客様にはホームステージングサービス(空室の方向け)や撮影時のお部屋お片付けサービス(居住中の方向け)も行っております。
相談やお悩みがある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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